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俺の親父はとってもミニマム
母の交際相手が誰だか知りたいと口走って数日。
二月に入った頃の事だ。
「はじめまして。
僕、田村定治といいます」
夜。バイトから
帰ってくると、
見ず知らずの小学生らしき
男の子が、俺が居間に
入った瞬間、挨拶を
してくれた。
そうですか、
たむらさだはる、
くんですか。
ふり仮名つけれないって
面倒だなおい。
「あ、どうも、俺は
畑中明といいます」
ふり仮名をふると、
はたなかあきら、だ。
ちなみに、母は妙子。
これはふり仮名
いらんだろう。
いるか?
たえこだ。
「あら、あーくん
お帰りなさい。
新しいお父さん
連れてきたわよ?」
キッチン部屋から出てきた
エプロン姿の母の言葉に、
あきらのあーくんたる俺は
驚いた。
こいつら正気じゃねえ!
「小学生と結婚するんか?
いくら何でもショタコン
過ぎるだろ」
「あの、僕、高校3年でして、
来月卒業します」
最近の子は発育悪くて
良いね。
可愛いよ定治くん。
美男子だね定治くん。
身長は150くらいかい
定治くん。
俺の母は40こえてるぜ
定治くん。
騙されてないかい
定治くん。
ほら、母も童顔だから
30くらいにしか
見えないけど、
よーく見てごらん?
けっこうシワ
寄っちゃってるぜ定治くん。
考え直しなよ定治くん。
「そうそう、あーくん。
今日からさだちゃんが。
ここで暫くの間寝泊り
するから、宜しく
してあげてね?」
そりゃ初耳だ。
「暫くって、どんくらい?」
「一週間だったっけ?」
「そうですよ先生」
……先生?
えっと、えーっとだな、
母の職業は高校教師なんだ。
ってことはつまり、
定治くんの先生だった
という事だろう。
いや、卒業してないから
現在進行形か。
「いやんもう、
先生はナシって
言ってるじゃない。
ダーリン!」
いやはや、実にキモイ。
キモ過ぎる。
何がダーリンだ
この時代錯誤が。
「あ、ごめんなさい。
たえちゃん」
ちゃん付けか。
対象が可愛くないから
呼び方も可愛いと思えない。
「という訳だから、
宜しくね、あーくん」
はいはい。
わかったよ。
物分りの良い息子で
助かったな母さん。
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