俺の親父はとってもミニマム

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昨日、 定治くんは母の部屋で寝た。 実際、それってどうよ? な訳だが、野暮な事は 言わぬが吉だ。 あ、そうそう。 ちなみにウチは二階建ての 一軒家で、二階には 四部屋有り、使われていない残りの部屋は、倉庫と 化している。更にちなみに、 (この表現は 合ってるのか?) 資金は母の父。 つまりお爺ちゃんの遺産だ。 (どうでも良い事の上に 不謹慎!) 「おはようございます。 あーくん」 「おあよ」 午前十一時を少し過ぎて ようやく俺はベッドから 離れ、一階に降りて居間に 入ると、定治くんは 自分のパソコンをテーブルで カチカチやっていた。 「ご飯たべます? 用意しますよ?」 俺に気づくと、 飯をどうするか聞いて くれる定治くん。 母のじゃなくて、 むしろ俺の伴侶に なってくれ。 「お願いするよ。 それと敬語はやめてな」 「ん、わかった!」 爽やかな笑顔を ふりまきつつ、 定治くんは キッチンに向かう。 「そうだあーくん。 ちゃんと歯みがいてね」 「おう」 洗面所で、 しゃこしゃこ音をたてて 歯を磨きながら、 昨日の夕飯時、定治くんが 言っていた台詞を 思い出してみる。 「僕、あーくんのお父さんに なりたいんです。 ……いえ、なります! 良いお父さんに、 きっとなってみせます! 約束します! 絶対、なります! 頑張りますから!」 どういう流れで こんな台詞が出たのかは 忘れてしまったが、 確かにこんな事を 言っていた。 「……良いお父さん、ねえ」 父親って、 頑張ってなるもんだっけか?
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