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あんまり重い話ばっか
しても何なので、
俺は方向転換をしてみる。
「そういや定治くんさ。
俺の母親の、
どこが好きなの?」
笑い過ぎて未だ腹が痛い。
「全部ですね。
何もかもです」
あらまあ。
こんなミニマム美男子に
ここまで言って
もらっちゃって、ウチの母は幸せもんだな本当に。
「いつから恋仲だったん?」
「僕が高校に入学して、
最初の担任だったのが、
たえちゃんだったんです。
で、一学期の終盤あたりから
アタックされまして……」
おい妙子、一年の
一学期からかよ。
ふざけてんじゃねえぞ。
盛り過ぎだ。
「アタックというと?」
「何かと気に
かけてくれまして、
そうだなあ、例えば、
水泳の授業で、海水パンツを
忘れた時、先生が偶然
もっていた海水パンツを
貸してくれて……」
おい妙子。
定治くんの海水パンツ、
どこに隠したんだお前。
策略練ってんじゃねえぞ。
「で、洗って返そうと
思ったら、そのまま
返してって、
洗っておくからって」
「定治くんの海水パンツは、
どっかいったまま?」
「それが、授業終わって、
鞄の中見てみたら、
無かった筈のパンツが
あったんですよ。
これって、オカシイよね」
敬語とタメ語が
入り混じってる定治くんの
喋り方もオカシイけど、
確かにそれはオカシイ。
「邪推かもしれないけど、
これって、たえちゃんが?」
「邪推じゃなくて、
その通りだろうな。
……ん?
それが分かってての現状?」
「分かってて、だね。
僕にとって
海水パンツ事件は
良い思い出だよ。
僕なんかのを手にしたい
という気持ちは、
嬉しく思う。
だってさ、そこまで
好きになってくれてるって
事でしょう?」
嬉しいんかい。
まあ言ってる事は
分からんでも無いな。
だが、
俺が嬉しいと思うケースは、
同年代あたりの美少女に
やられたらの話だ。
オバさんにやられたら、
ドン引きするよ実際。
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