俺の親父はとってもミニマム

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あの後、 定治くんが母の事を どれだけ好きか。 どんなシチュエーションで どんな事があったとか 色々聞き出して、 今度は俺の話になった。 「あーくんは、彼女さん とかいないんですか?」 「いるよ? 愉快なのが」 出合頭にアイアンクローを 仕掛けて来る阿呆なヤツだ。 「へえ、今度 会ってみたいなあ」 「明日会う予定だから、 呼んでみるか? ここに」 「お願いします」 目を輝かせて お願いをされてしまった。 こいつあ引きずってでも 連れてくるしかあるまい。 「あー、そういや今日って 何曜日だったっけ? 母さん居ないみたい だけどさ」 「月曜日だね。 たえちゃんは仕事だよ。 あはは、 確かに休みになると、 曜日感覚が失われるよね。 僕もそういうタチなんだ」 でも、お父さんだから、 お父さんになりたいから、 忘れない様に頑張る。 と言いたそうな顔だ。 確か高三ってもう既に 春休みだよな。 「そうだ。 これを聞いてなかった。 定治くんはどんな仕事に 就くつもりなんだ? もう内定 決まってるんだろう? あ、大学に行くのか?」 「えーっと、僕は、 専業主夫になります」 マジでですか? 「え、もしさ、もしよ? この先結婚して、 晩年離婚とかするハメに なったら、どうする気?」 「僕、株式運用が得意 なんですよ。 高一の冬くらいから やってるんですけどね、 うまくいけば 儲かりますよ?」 株ねえ。 もしかしてさっき パソコンでカチカチ やってたのはそれか? ふむ。俺も株やってみたくて 勉強をこの間はじめて みたんだが、 アセットアロケーション とかいう横文字が出た瞬間にあきらめたわ。 横文字嫌いだ。 俺日本人だしな。 ……諦めるの早いか? 「へえ、月にどんくらい 儲けてんの?」 「いって百万くらい ですかね」 そいつあすげえや!
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