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キャッチボールをしようと
自分で誘っておいて、
外に出た瞬間あまりにも
寒かったので止めようかと
思ったのは内緒だ。
「ちょっ!
定治くん、球が速過ぎる!
何が出来るかなだ!」
寒いせいか、
誰も居ない公園で
キャッチボールをはじめた。
そしたら驚くべき事に、
定治くんがとんでもない
球を投げてきやがった。
「小学校卒業するまで、
野球やってたんですよ。
随分と長い事やってません
でしたから
不安だったんだよ」
そういう事か。
なら手加減しないで
大丈夫って訳だな。
「そういえば、
僕も小さい頃に
お父さんとこうやって、
キャッチボールしたなあ。
あーくんも、やっぱり
お父さんが生前の頃は
こういう事やったり
したんだ?」
「聞いてないかな?
俺が物心ついた時から、
父親は居ないんだ」
妙子が好きなだけで、
他は何も知らないってか。
まあ良い。
これから頭に入れて
もらえば良いだけの話だ。
「す、すみません」
「いや何。
定治くんが父親に
なってくれるんだろう?
謝ってないで、
頑張ってなってくれよ?
俺に認められる様に、さ」
「あ、はい!
わかりました!
精一杯頑張らせて
いただきます!」
俺は一体、どうしたら
この定治くんを父親と認める事が出来るのだろうか。
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