俺の親父はとってもミニマム

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キャッチボールを はじめて30分。 流石に飽きてきたのだろう。 定治くんは、ベンチに座って お喋りしようと言って きたので承諾。 「久々にボール触ったなあ」 定治くんは座ると同時に そう呟いた。 「高校の球技大会とかで、 野球なかったっけ?」 「ありましたけど、 あえて卓球に出て、 初戦敗退してたよ。 野球は別に やりたくなかったから」 言いながら、 悲しい顔をする定治くん。 何か野球に悲しい思い出でも あるのだろうか。 「あ、じゃあさっきのは 楽しくなかった?」 と聞くと、 定治くんは焦った 様子でクチを開く。 「いやいや! 楽しく無い訳が無いよ!」 すっごい笑顔で 言ってくれるから、 胸がキュンとなる。 めっちゃくちゃ 可愛いよ定治くん。 特に笑顔が可愛いよ 定治くん。 俺の笑顔はキモイよ 定治くん。 「ならよかった」 ここでひとまず一呼吸置き、 話題を変える。 「あのさ、キャッチボール してる最中に思った事が あるんだけど、 聞いて良いかな?」 「うん、良いよ」 「じゃあ聞くけど、 定治くんの母親が、 定治くんと俺の 母さんの事を認めてないって 言ってたけどさ、 今回の、その、 ウチに1週間泊るってのは、 認めてもらったっていうか、 了承を得られたのかい?」 いきなり難しい 顔をする定治くん。 もしかして、 もしかする? 了承得て無い?
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