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「ゲーム……?」
俺は声の主に、端から見れば黒い空間の天井に喋りかけた。
『本作品【レッド・クレセント】です。彰様はそのプレイヤー参加者に選ばれました。
私はゲームに関するご説明を任された者です』
やっぱりあのゲームか。
嫌な予感が沸々としないでもないでもない……つまりは嫌な予感がしていたのだが、本当にこれ全てがゲームのせいなのか?
「いくつか質問したい。此処は何処だ?」
『私はゲームに関するご質問にしかお答え出来ません。――ですが、まあいいでしょう。
現実とは似て非なる、とだけ』
現実とは似て非なる、ねぇ。
訝しげな表情を抑えようと思ったが心が読まれてるなら無意味だろうから思いっきり眉をつり上げてみた。
『ご説明を始めてもよろしいですか?』
「待て。俺はまだゲームをやるとはひと言も言ってないぞ」
『このゲームが届いた時点で彰様はプレイヤーです。
それと、リタイアに意味はありませんので』
「要は強制参加じゃないか」
『説明を始めて、よろしいですか?』
今度は眉を曲げるだけではもの足りないので舌打ちしてやった。
『まず、本作品は多人数参加型RPG。最初の記載通り1人、もしくは複数で魔王を倒す事がクリア条件です。
本日は別ですが本来このゲームは指定された日にのみプレイして頂きます』
「指定された日?」
『はい。本作品は朱い月の日にのみプレイ可能です。
それ以外の日ではログインすら不可能ですのでご了承下さい。
付け加えて、朱い月の日にログインをしなかった場合、プレイヤーの安全の保障はしかねますので重ねてご理解下さい。
ここまででご質問は?』
しばらく顎に手を添え思案を巡らす。
「無い」
『では続いて』
声が妙な間を置くと機械音と共に半透明の画面――パソコンに出てくるウィンドーが目の前に出現した。
その中にはこう表示されていた。
【戦士・黒魔導士・白魔導士・盗賊・銃士】
ひと通り目を通して俺は疑問を宙に投げた。
「なんだこれは?」
『こちらはゲーム内での彰様の職業です。どの職業を選ぶかでパラメーター、武器、技は違います。
能力比率は通常のゲームと同じと考えて頂いて構いません。
ご質問があれば承ります』
俺はしばらくウィンドーと睨めっこをして、やがて見せつけるように大きく頷いた。
「決めた。銃士だ」
『承知しました』
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