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「清司、大丈夫?顔色悪い」
「そうか?」
「うん、それに目の下にくっきり隈ある。もしかして清司、寝てない?」
「安心しろ。ちゃんと寝てる」
朝、乃愛は当たり前のように家に迎えにきた。
しかしこの日は何故か一緒に行く気になれず、俺は一人で家を出た。
体もだるかった。休もうかとも考えた。
しかし結局行く事にした。熱もないし風邪も引いていない。
ただだるさと眠気があるだけ。
そのせいか結局遅刻して注目を浴びたけど、まぁどうでもいい。
自分の席に着いたと同時にうつぶせる。
目は開けたままだ。眠りはしない。眠ったらきっとまたあの夢を見てしまう。
暫くそうやっていたら幼なじみの乃愛が近づいてきたんだ。そして声を掛けてきて今に至る。
「具合悪いなら保健室行こう」
「いい」
「いいわけないよ。清司凄く疲れた顔してる。保健室で休んだ方がいいって。教室で寝てもちゃんと疲れとれないよ」
「っ、ほっとけよ!」
「!!」
思わず声を荒げていた。教室に声が響き、ガヤガヤとした教室が一瞬にして静まる。
眠気にイライラしていた。
何も知らずに呑気な乃愛にイライラしていた。
同じ夢にイライラしていた。
眠りたいのに眠る事ができない己にイライラしていた。
しかし頭に昇った血は乃愛の悲しそうな表情を見て一瞬で静まる。
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