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「眠いの?」
目を細め、問われる。俺は“あぁ”と短く返事をした。
「だけど俺…」
やっぱ寝るのが怖い……と言いそうになった時、重なった乃愛の手に力がこもる。
「大丈夫。僕が側にいるから。君が次目、覚ますまで、こうして隣で手を握ってあげる」
「!?」
「清司があの夢を悪夢と思うなら、僕はその悪夢から清司を守ってあげる」
「な…」
なんで……?
「だから安心してゆっくりおやすみよ。…あぁ!僕の事なら気にしないで。授業なんて一回さぼっても平気さ」
「………」
「?清司」
いつまでも黙っている俺に乃愛が話し掛ける。
俺は言葉が出なかった。当たり前のように側にいると言った乃愛に。
例え幼なじみでも、そこまで普通は有り得ないと思った。
乃愛のしている行動はまるで恋人にでもする行い。
でも俺と乃愛はそんな関係じゃない。だから不思議だった。
「なんで……そこまでしてくれるんだ?」
「え?」
「幼なじみでもそこまで行き過ぎた事は普通しないと思うんだけど」
勇気を出して言うと暫し乃愛は黙る。
黙ったままじっと俺の顔を見た乃愛は、やがてぽつりと一言言った。
「……ほうっておけないから」
「え?」
「だからほうっておけないから。勿論幼なじみだからって理由もあるけど一番はほうっておけないから。だって清司ってなんかこう、母性本能を擽られるんだよ…なんか」
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