少女との約束

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久しぶりに夢を見た。正確には今、夢を見ている。 モノクロで辺りに靄(もや)が掛かり、視界が見えにくい。しかし俺は夢を見ている。 夢の俺は幼い少年の姿をしていた。顔を下に向けてるせいか表情がよくみえない。 泣いているのか、怒っているのか、ただそうしているのかわからない。 『―君、一人なの?』 その時、一人の少女が俺の前に現れる。少女の顔もよくみえなかった。 靄が少女の顔を隠すように、俺の視界を遮る。 少女が何か語りかける。 幼い俺はその問いに答える。 近くにいるのに会話が聞こえない。 これは夢なのに夢じゃないようだ。 思えば昔、どこかでこの少女と会った事があるような気がする。 おかしな話だ。 覚えていないのに会った事があるなんて。 夢の中で夢をみているのだろうか… しかし今までみた夢と違い、この夢は妙にリアルに再現されている。だけど、どこか未完成で…… 『―約束だよ』 少女は何か約束を交わす。 初めて会ったものに約束を交わすなんて、どこのドラマか。漫画か。 『…絶対……約束、だからね』 しかし俺は一瞬見た。 唇を強く噛み締める少女を。 表情は相変わらず見えないがそれはどこか悲哀を帯びたような感じだった。 決して漫画やドラマでよくあるベタな結婚の約束とかじゃなくて…… 『約束…』 「っ、まっ……!」 待って、と少女に手を伸ばした時、俺の意識は現実に引き戻された。 .
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