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幼い少女、幼い自分、約束。しかし約束が何かはわからなくて……
夢であった事を覚えている限り乃愛にぶちまけた。
たかが夢の事に何故こうも必死になっているのか、自分に驚く。
俺は少女の正体を知りたいのではなく、交わした約束がなんなのかを知りたいのだ。
「俺は昔どこかであの少女と約束を交わした事があるんだ。あの時交わした約束がなんだったのか、知りたい」
「うーん、そうは言っても。本当に昔夢と同じような出来事を体験したの?本当はそれも以前みた夢でとかはない?清司が知らない女の子と約束交わしたなんて僕初めて知ったよ。きっと夢と現実をごっちゃ混ぜして頭が混乱してるんだよ」
「違う…確かに昔会った事があるんだよ……多分」
「多分って…」
呆れた目で見る乃愛。正直俺は自信がない。
乃愛の言う通りそれも夢なのか。
夢と現実が混同してしまったのだろうか。
どれが現実でどれが夢かわからなくなる。頭が混乱している。そもそも何故今まで忘れていた事を今になって夢で見るのか。
忘れていたと言う事は俺にとってどうでも良かったという事。
しかし顔や名前、約束の内容は忘れていたとしても約束というものを交わしたという記憶は残っていてもおかしくない。
しかしそれすらも記憶にない。まるでこの出来事だけぽっかりと頭の中から消え去ったみたいだ。
考えても考えても何も変わらない。
「清司?」
「そうだよな、これは夢だ。夢の事なのになんで俺は必死だったんだ」
自嘲気味に呟く。
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