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「しくじったな。」
暗い、暗い地下の土牢の中で、法螺吹き男は自らの初めて失敗を悔やんだ。
初めての失敗は、つい数時間前に遡る。
ある金持ちから言葉巧みに奪ったペンダントを手に、男はある店に入った。
その店は価値の有る物を現金と交換してくれる店だった。
宝石でも、指輪でも、それが人でも。
利益と品を持ってきた人間をよく品定めし、買い取る。
多少危ない香りのする店だが、だからこそ詐欺紛いで手に入れたペンダントを売れる。
男はすでに、売上金を何に使うかを考え始めていた。
ペンダントを奪われた金持ちの事など忘れて。
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