2.

2/5
573人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「しくじったな。」 暗い、暗い地下の土牢の中で、法螺吹き男は自らの初めて失敗を悔やんだ。 初めての失敗は、つい数時間前に遡る。 ある金持ちから言葉巧みに奪ったペンダントを手に、男はある店に入った。 その店は価値の有る物を現金と交換してくれる店だった。 宝石でも、指輪でも、それが人でも。 利益と品を持ってきた人間をよく品定めし、買い取る。 多少危ない香りのする店だが、だからこそ詐欺紛いで手に入れたペンダントを売れる。 男はすでに、売上金を何に使うかを考え始めていた。 ペンダントを奪われた金持ちの事など忘れて。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!