産声

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どこにでもありそうな、何の変哲もない家 その家の一室で落ち着きなくソワソワしている男性がいる 「まだ・・・・もう少しか・・・がんばれ・・・・・」 男性はグッと手を握りしめブツブツと呟く しばらくそうしていると ・・・・・・・オギャー オギャー その声を聞き慌て立ち上がり声の方へ駆け寄っていく タッタッタッ・・ガチャバン!! 男性はすごい速さでドアを開けるなり叫んだ 「生まれたのか!?」 キョロキョロしながらも満面の笑みだ 「ゼム!!せめてドアくらいゆっくり開けてください!赤ちゃんがビックリしちゃいます!!」 と、女性は注意を促す。しかし注意しながらも微笑んでいて、その腕に赤ん坊が抱かれている 「おぉ!アン、その子か!!」 ゼムと呼ばれた男性は反省の色も見せず赤ん坊を見つめている 「そうよ、元気な男の子でしょう」 アンと呼ばれた女性は腕の中の赤ん坊を見せるようにして答える 「本当だ。俺に似てなかなかの元気者じゃないか」 オギャー オギャー 赤ん坊は2人が話している間も泣きっぱなしで、その小さな手足を元気一杯ばたつかせていた
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