第十章 闇魔法

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    ‡  ‡  ‡ 全ての授業が終わった。 連絡事項が特に無いことを告げ、担任は教室を去った。 エマは荷物を提げて真っ先に出た。 いつもならトレーニングルームに行く所だが、今日は何と無く気が進まない。 「よぉ、待ったぜ」 廊下の壁にもたれ、銀髪の少年が腕を組んでいた。 無視しようと思ったが、そういうわけにもいかず、視線を投げかける。 「何か用?」 素っ気なく問う。 「せっかくいい男が待っててやったのに、可愛くねぇ女」 彼は口に手を添え、小馬鹿にして笑った。 「用がないなら、構わないでもらえる?」 彼の機嫌をとろうとは思わない。 昼のこともあり、好印象は持っていない。 進行方向だけを見て、傍らをすれ違う。 「お前、力が欲しいか?」 彼は言葉を放った。 エマは足を止めた。 ――チカラガホシイカ 考えるまでもない。答えは決まっている。 だから振り返る。黒い瞳に迷いは無い。 「欲しい」 セロは捻くれた笑みを浮かべた。 「ならば、お前に見せたいものがある」
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