序章 勇者

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華奢な背は、少年を庇うように立つ。身体を支えるために開いた脚は、恐れに震えている。 今、目の前にいる敵にかなわないことくらいわかっている。 そして、背後の少年を見捨てれば自分が生き残る可能性が高まるのも。 されど少女は逃げようとしない。 強大な敵を前に一歩も引かず、細い腕で真っ直ぐに剣を構える。 少年は思った。彼女こそ、真の勇者であると。
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