第十章 闇魔法

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    ‡  ‡  ‡ 重苦しい昼食を食べ終え、二人の少年は少女と別れクラスへと帰る。 その間フレイは張り詰めた顔で、終始無言だった。 「馬鹿だ、俺」 ぽつり呟く。小さく悔しさが滲んだ声で。 「何も何にも知らなかった。友達面して、こんな近くにいて」 ぺしっ。小気味よい音がした。 「あたっ」 フレイは額を押さえた。 「いいんだよ、それで。相手のこと詳しく知ればいいってもんでもないだろ」 セロはデコピンした手を下げる。 「蒸し返されたって平気な顔して前に進んでいく鋼の心臓を、あいつは持っている。だから、お前が気を病むな」 「わかってるさ。わかってるけど」 揺れる瞳で見上げる。 「ねぇ俺、どうすればいいのかな。何ができるかな」 必死の問いに、ははっと虚無な笑いを返す。 「お前がその貴族の代わりに頭下げるか?捜し出して復讐でもするか? 意味ねぇよ、そんなこと」 フレイは唇を噛む。虚しくて、情けなくて。 彼は人のことでも心を痛めてしまう。優しいからだ。優しい過ぎるからだ。その優しさは水のように透き通って清い。 「お前にできるのは」 そんな友人を労るように肩に手を置く。 「笑ってろ。いつもみたいに呑気に、ぽやぽやした顔で。この世に、辛いことなんてないみたいに」 フレイは口を尖らせた。 「なんだよ。まるで俺、世間知らずみたいじゃん」 「いいんだよ、それで」 その笑顔が曇るくらいなら、穢れた世界を知らなくていい。 「汚いものは全部、俺が引き受ける。だから、笑え」 太陽のような笑みは、全てを照らしてくれるから。
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