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「フレイ、大丈夫だったか?」
一人の友人が心配そうに、遅れて来たフレイに声をかけた。
フレイは笑って答える。
「ちょっと捕まった。だけど問題ないよ。叔母さんだからね。適当にごまかしといた」
そっか、とつぶやき、友人は安堵の色を見せる。
別の友人はからかうように笑いかけた。
「じゃ、今度ファイザー先生がキレたら、フレイに任せるか」
「勘弁しろよぉ~。それはいくら叔母さんでも、無理」
そんなフレイたちの他愛ない会話を掻き消すように。
突如、学校中にブザーが鳴り響いた。
「なんだ?」
友人の問いに答えるよう、切迫したアナウンスが流れる。
『緊急事態発生、緊急事態発生。妖魔が学内に進入したもよう。
外にいる生徒は速やかに校舎内に避難。担当の教員は結界の準備をし、その他の教員は生徒の安全を確保せよ。繰り返します…』
「妖魔だってさ」
「先月も来たよなぁ」
「いいじゃん、授業潰れるし」
「今度はどんな奴だろ」
フレイたちは窓に駆け寄った。
校門の辺りから豆つぶのような黒い影が現れ、次第に大きくなりつつなるのが見えた。
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