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「何言うかわっかんねーぞアイツ……」
竣の姉こと、優香(ゆうか)はとりあえず怖い。
そして人使いが荒い。
ちょっとしたことでさえも手伝わすのだ。
食卓の席についてさぁメシだ。
と思ったら冷蔵庫の中のお茶を持って来いとかなんとか。
正月に至っては、元旦でめでたいなーって思っていたら遠くに出かけて福袋買って来いやと。
竣には自由時間という物があまり無いのだ。
まったく。優香の『優』は優しいの『優』じゃねぇのかよ。と、竣は俯きながら思う。
なんて言い訳すりゃいいんだ……。
と思っていたのだがすぐに考えるのをやめた。
前に、
『言い訳無用!!』
と言われて優香に胸のど真ん中にステキな熱い拳をもらったことがある。
あの時は平手でなくグーはどうなんだグーは。と、胸を押さえつけながら涙目で思った。
別に涙もろいのではない。
ただ単に優香の鉄拳が強いのだ。
大した身長もなければガタイも大したことはないのに。
「なんであんな姉に従ってんのかなー……」
本屋を出て、帰り道を歩きながら冬の寒空を見て小さく呟いた。
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