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そしていつの間にか家が見えるところまで来た。
竣は尾行を気にする犯人のような素振りで辺りをキョロキョロ見渡し、
慎重に家に向かった。
家は一般家庭。
特別、裕福でもなければ貧しくもない。
恐らく、10人見たら10人が
『フツー……』
と、特に何も思わない顔で言うだろう。
そして玄関の前。
玄関のドアの開け方は、ドアノブの上にあるフタを開ければ番号キーがあるので、
それをうち、合っていれば開けられる仕組みだ。
もちろん、万が一、ナンバーキーが壊れた場合にもロックが解除できるように、鍵穴もある。
(家にアイツがいたらどうすっかなぁ……?入ってすぐにパンチが飛んで来るとかないだろーな。……いや、それは無いか、『ありませんでした』なんて言ってねーし)
勇気を持とうと自分に暗示する。
ピ、ピ、ピ。とキーを押すときに鳴る音が妙に大きく聞こえるようだった。
そして、ガチャン。とドアのロックが外れた音がする。
竣は恐る恐る、
「ただ~いま~……」
女々しく、かすれるような声でそう言いながら恐る恐る家に入っていった。
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