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我が家なのになんだか落ち着かない。
いや、落ち着けない。
もしかしたら、いきなり姉がそこのドアがガラッと開いて
『しっかり買ってきたかー!?このうつけ者ー!!』
とか言ってくるかも知れなくて怖い。
「っと……、とりあえず確かめよう……」
優香が居るか居ないかを。
優香は大学生だし、まだ夕暮れ時だから余程運(?)が悪くない限りこの時間にはいないだろう。
まるで猛獣に怯えながらジャングルを歩き回る探検隊みたいだ。
冗談半分にそう思いながら家を歩き回った。
どうやらいないようだ。
いるのは専業主婦の母、美喜(みき)のみ。
はーっ、と息を吐き、緊張の糸が途切れるように壁を背に座り込んだ。
とりあえずホッとした。
そんなことを思っているとそこに、
「竣ーっ?帰ってきたならちょっと郵便受けの中身見てきてくれなーい?」
母、美喜が透き通るような甲高い声で言った。
竣は驚いてビクッと体を少しだけ動かし、その拍子に足の指を壁にぶつける。
『んっ~つ……っぅ?』
若干、変態みたいな声で悲鳴をあげた。
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