郵便受け~メールボックス~

2/20
前へ
/386ページ
次へ
我が家なのになんだか落ち着かない。 いや、落ち着けない。 もしかしたら、いきなり姉がそこのドアがガラッと開いて 『しっかり買ってきたかー!?このうつけ者ー!!』 とか言ってくるかも知れなくて怖い。 「っと……、とりあえず確かめよう……」 優香が居るか居ないかを。 優香は大学生だし、まだ夕暮れ時だから余程運(?)が悪くない限りこの時間にはいないだろう。 まるで猛獣に怯えながらジャングルを歩き回る探検隊みたいだ。 冗談半分にそう思いながら家を歩き回った。 どうやらいないようだ。 いるのは専業主婦の母、美喜(みき)のみ。 はーっ、と息を吐き、緊張の糸が途切れるように壁を背に座り込んだ。 とりあえずホッとした。 そんなことを思っているとそこに、 「竣ーっ?帰ってきたならちょっと郵便受けの中身見てきてくれなーい?」 母、美喜が透き通るような甲高い声で言った。 竣は驚いてビクッと体を少しだけ動かし、その拍子に足の指を壁にぶつける。 『んっ~つ……っぅ?』 若干、変態みたいな声で悲鳴をあげた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1070人が本棚に入れています
本棚に追加