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眼帯の男が出た後の教室は、一気に賑やかになった。
「あー疲れた……やっぱ『魔法史』は一番疲れる授業だな」
黒髪の男子がため息混じりに愚痴をこぼす。
「僕は魔法史の授業、結構好きだけどな。他の授業より静かだからね」
「そりゃあ、魔法史の担当が鬼のスコウ先生だからだよ」
茶髪で眼鏡の少年の言葉に黒髪の男子はいかにも嫌そうな表情をした。
「確かに、スコウ先生は、みんなにはちょっと近寄りがたい人かもね」
茶髪の男子はクスッと笑った。
「ちょっとどころじゃねーよ。あんな威圧で、授業なんて受けられるかよ!」
黒髪の男子は教室に響くぐらいの声で吠えるように叫ぶ。
「そう?僕から見たら、君はただ寝てただけのようにしか見えなかったけど」
黒髪の少年に言の葉の矢が突き刺さる。
それは、と黒髪の少年は言葉を詰まらせた。
「それより、今年の新入生は強者揃いらしいよ。再来年の『三大魔法学校対校試合』に期待だね」
「マジかよ。そいつは楽しみだな」
黒髪の男子はニヤッと笑みを浮かべた。
「あ、そろそろ入学式に行かなきゃ」
周りの生徒達はぞろぞろと式場へと足を運んでいく。
二人は揃って教室を出た。
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