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 村は密かに生きていた。  森の奥底の何処ともわからぬ場所で。  誰に知られることなく。  また、何を知るわけでもなく。  世間から離れて。  村には大昔から伝わる百年祭があった。  これは百年に一度、百年間の村の安泰を感謝し、また次の百年の安泰を神様にお願いする祭り。  この祭りには、三つのものが必要だった。  一つは、松の枝を折ってつくった棒。  もう一つは、その年18になる乙女。  もう一つは、その年18になる男の子(おのこ)  そうそう……もう一つ大切なものがあった。それは、村ばば様の声。
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