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「あ、えっと…僕はケビン・マルタスだよ!」
少年の様子を伺う様に答えたその声はどこか嬉しそうだ。
「……お前、気に入った」
「………は?えっ?」
ケビンは一瞬、少年の言葉を理解出来なかった様で、目をキョロキョロと泳がせる。
「お前、は、普段の俺がどんな事をしていても本当に信じると言うか?」
質問というよりも確認という様な口調で少年は尋ねる。
「どんな事してたって本質は変わらないでしょ?」
さも当然と言う様にケビンは首を傾げる。
「…またな、ケビン」
少年はケビンの返事には何も言わないまま、結局振り返らずに帰って行く。
だからケビンは知らない。
少年が満足そうな優しい笑みを浮べていた事を。
少年は知らない。
ケビンが満面の笑みを浮べていた事を……。
end
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