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コウモリって知ってる?
昼間は暗い穴で眠っていて、夜になると起きてみんなと遊ぶんだって。
みんなと逆さまだね。
森の夜は、静かです。
起きているのは、コウモリのキッキだけ。
「つまんないの…。いつもひとりぼっちなんだもん。」
ところが、ある夜のこと。
「キッキ、こんばんは。」
誰かが来ました。
こんなことは初めてです。
「あっ、お月様!」
「やぁ、キッキ、寂しそうだから、遊びに、来たよ。」
「うれしいな。僕の初めてのお客様だよ、ねぇねぇ、早く入っておいで。」
「うーん、入るのはちょっと無理だと思うけど…。」
「大丈夫。中は広いんだから、こうすれば入れるよ。」
「そっと押してよ。そっとだよ。」
「うれしいな、うれしいな。」
キッキは大喜び。
一晩中お月様と一緒に遊んで、
朝が来ると一緒に眠りました。
次の日も、また次の日も、その次の日も、二人はいつも一緒にあそんで、一緒に眠りました。
それから何日か経ったある日のこと。
もう外は暗いのになんだかにぎやかです。
♪お月見だ お月見だ
まん丸いお月さん出ておいで~
それを聞いたお月様はびっくり。
「大変だ、急いで空へ帰らなくちゃ。」
ところが、まん丸になったお月様は出られません。
キッキは叫びました。
「お月様が大変だぁ。みんな手伝ってよう。」
♪それ引けよいしょ
みんなでよいしょ
今夜はお月見
お月様が大変だ
それ引けよいしょ
急いでよいしょ
…………すっぽーん!
キッキはその夜、みんなと一緒にお月見ができてとても楽しかったんだって。
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