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また会いたいと思う、なんとなく胸がドキドキしたのも本当だった。
恒やしょういっちゃんといた時とは違う気持ちだ。
あの時の奈々に無かったものが今はある。
それは『自由』だ。
恒といる時は金だけの為に働いていた。
実際、恒は敏腕マネージャーであったとは思う。
貯金も貯まった、自由に使える金もあった。
けど、恒は?
働きもせず、奈々の帰りを待ち、ご飯の仕度をし掃除をする。洗濯物をする。
金の管理をする。
けど、それがどうしたというのだ。
恒は奈々が身体を売るのを知っていて、それで奈々が堕胎した時にだって早く仕事に行けとばかりに言ったではないか。
しょういっちゃんは?
奈々は目を瞑りながら考える。
働かなくてもいい、金を持って来なくてもいい。
自分の金を宛てにしていないしょういっちゃんは優しいかもしれない。でも自分以外の人間と付き合うことを嫌がり排除する。
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