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「なんでまた…パリ…なの?」
心が揺れる。
ドクドクと心臓の音がする。
「留学してた時に向こうで知り合った人がいて、その人と一緒に仕事することになったんだ。」
仕事…?
「御栄家の事業拡大だよ。遂に海外に目を向けるらしい。」
それで…パリ?
「その第一歩を俺が任せて貰ったんだ。」
そう…なんだ。
でも…
「なんでそれで御栄邸に?」
実家に戻って来てする話じゃないよね。
マンションでも出来るでしょ?
「えっと…それは…」
何故キョドる?
「説明しよう!!」
いきなりバンッとドアが開く。
あ?
「それはお兄ちゃんがマンションに馳せ参じたからだ!!」
バンッ。
その人物にクッションを投げ付けた。
見事クリーンヒット。
「てめぇが原因か!!」
立ち上がって怒鳴りつける。
てかそもそもなんであんたがここにいるんだよ!!!
「この天才から逃げられると思うなよ義弟よ「黙れ!」
クッションを拾ってそれを片手で持って、もう片方の手を顎に当ててるその人に再度クッションを投げる。
「いい加減にしやがれ馬鹿兄貴!!」
「小雪!」
つかみ掛かろうと足を踏み出した私に京介が後ろから抱き付く。
てか押さえ付けられた。
抱きしめるようにね。
「離せ京介!!今日と言う今日はもう我慢なら無い!!京介だってこの人が苦手だからこっちに来たんでしょ!!」
京介の腕の中で暴れる。
「こんなことで怒るなんてまだまだ甘いな妹よ。」
ぷっちーんと何かがキレた。
「離して京介。」
静かに言う。
「嫌だ。離したら小雪はお義兄さんに掴み掛かるだろ?」
はっはーん。
一応義理立てしようってか。
「大丈夫だから。」
絶対零度。
京介は固まって手を離した。
それを見逃すわけが無い。
瞬時に京介の腕の中からすり抜けて馬鹿兄貴に近寄る。
で。
「おにーちゃん。」
兄貴の目の前で笑った。
「お?なんだ小雪。」
にへらと笑う兄。
「出てけー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そんな兄に力の限り叫び蹴飛ばしドアを閉め鍵をかけた。
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