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ふと蘇るのは昔の記憶。
京介に会う前。
かごめに会う前。
真琴さんに出会うもっと前。
陸上を始めたか始めてないかそんな時期。
そう言えば私はある一つの約束をした。
ある少年と。
「小雪ちゃん。僕絶対有名になって一人前になる!!」
「一人前?」
「一人前になって有名になったら小雪ちゃんのこと向かえに行くから!!絶対絶対向かえに行くから!!」
そんな約束をして彼は海外へ旅立って行った。
と言うのは大袈裟で両親の職種上海外に行かざるをえなくなってしまったと言うだけの事。
それから10年以上。
きっと彼もこんな約束なんか忘れているに違いない。
「なーにぼーっとしてんだよ。」
ぼふっと後ろから抱き占められた。
「京介。」
振り向く。
「ちょっと昔を思い出してた。」
「昔?」
首を傾げる京介。
「陸上を始めたか始めてないかそんな時期にね、約束をしたの。」
「約束?」
「ある1人の少年とね。」
くすっと笑う。
そしたらグイッと引き寄せられてむっすりと京介はふくれた。
ん?
「何?」
「ムカつくんだよ。」
あれ?
「昔の事でも、小雪が他の男のこと考えてるのがムカつく。」
あれまぁ。
「俺…独占欲強いのかも。こんなことでムカつくなんて。」
京介…。
私は笑った。
「大丈夫だよ。その少年だって私のことなんか覚えて無いと思うよ。」
そう言ってほっぺにキスする。
「そう言う事じゃないんだよ。考えてたこと事態がムカつくの。」
…………。
可愛い。
「んー…分かった。」
くすくすと笑いながら答え。
「なんだよ?」
「ん?愛されてるなぁって。」
だってヤキモチ焼いてくれてるんでしょ?
こんな昔のもう顔も覚えていない少年に。
嬉しいに決まってるじゃん。
「当然。」
うん。
このままずっと離さないでね。
なんて思っていたのに…
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