留学

4/8
前へ
/197ページ
次へ
その気遣いが嬉しい。 「今日は?お義父さん機嫌良かったんだ。」 「まぁ、父さんって言うか姉さん?」 ガチャッと車のドアを開けて先に中に入れてくれる。 のち自分も入る。 「椿さん…か。」 この一年。 私が知らない間に椿さんは御栄家を制圧したらしい。 まぁ、制圧なんて言葉は当てはまらないので言い換えるとしたら御栄家の天下をとった。 とでも言っておこう。 現御栄家当主はお義父さん。 の筈がいつの間にか椿さんになっていた。 それを知ったのはつい最近である。 つまり結婚してからね。 京介の話によると椿さんは元々御栄家の裏番長だったらしい。 言い換えて現当主はお義父さんなんだけど事実上は椿さんが当主みたいな。 でもそれって元から椿さんが当主だったんじゃ…。 なんて思ったりもしたけど決して言いません。 「大変だね。」 「仕方ないよ、母さんとの約束だからな。」 そう。 京介のお母さんもとい御栄 紀乃さん。 つまり今は私のお義母さんなんだけど。 は、私と京介が結婚する上である条件をだした。 認めてくれてたんじゃないのかと思ったが流石と言うべきか手強かった。 で、条件とは留学は免除する変わりにお義父さんの会社で働くこと。 つまり京介は大学に行ってない。 まぁ元から海外の大学に行く筈だったのだから日本の大学は受験してなかったみたいだけど。 「ごめんね。」
/197ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2078人が本棚に入れています
本棚に追加