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「おじい様っ?!」
はにかんだ笑みから一転、鷹夜は慌てて祖父の元に駆け寄る。
そして大きな漆黒の瞳を潤ませながら、小枝のような祖父の手を握った。
「大丈夫?」
「―――大丈夫だよ。
お前は心配性だなぁ。」
ヒューヒューと苦しそうに呼吸しながらも、祖父は笑ってみせる。
今にも泣きそうな最愛の孫を、笑わせるために―――
しかしそんな祖父の願いも虚しく、鷹夜は顔をくしゃくしゃにしながら首を横に振った。
「おじい様……本当に大丈夫なの?」
「―――今は、な……」
本当は、ただ無邪気に笑っていてほしいのだけどな―――
しかし、それは叶わぬ夢。
華野の最後の人間になるであろう鷹夜に、これ以上隠すわけにはいかなかった。
「―――鷹夜よ。
一昨年だったか……お前が当主を継いだことを覚えているか?」
一転して、難しい表情に深刻な口調。
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