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まるで教科書を読んでいるかのように、すらすらと言う。
華野家については祖父が直々に教えたので、間違えるわけにはいかなかった。
「その通り。
しかし、ここからは初めてお前に話すことになる。」
「―――はい。」
まだ、自分の知らない華野家があったのか―――
心の中は驚きでいっぱいだったが、鷹夜は表情にだすことなく静かに頷いた。
「華野の当主は、絶大な力を得ることができる。
それはいいことのように思えるかもしれないが、悪いことでもあるんだよ。」
「悪いこと、ですか……?」
つまり、リスクがある。
祖父は、そう言いたいのだろう。
しかしたかだか5歳の少年に、そんなリスクのことなど考えられるわけがなかった。
「わしら人間はな、ガラスでできたコップなんだよ。
そのコップの中には、水が入っている。
この水こそ、魔力なんだ。」
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