ショートストーリーⅠ

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ぽつりぽつりと語る祖父の言葉に、黙って耳を傾ける。 「うちの当主はな、皆普通の人よりもそのコップが大きいんだよ。 だから、水がいっぱい入る。」 コップというよりも、ばけつなのかもしれない。 容量が大きければ大きいほど、魔力を持つことができる。 「当主とは、強い者がなる。 言い代えれば、そのコップが大きい者が当主となると言っていい。」 「―――では、僕はそのコップが小さいのですか?」 当主にしたくないと言うのなら、そういうことではないのか――― そう思って呟いた鷹夜だったが、予想とは違って祖父は強く首を横に振った。 「違う、むしろ逆だ。 お前は歴代の当主の中でも、一番と言っていいほどの器を持っているよ。」 「なら……」 何故、自分では駄目なのか――― そう、表情にでていたのだろう。 祖父は苦笑しながら、鷹夜の膝を優しく叩いた。 .
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