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「召喚術というのは、人間が神を従えることだ。
いかに力があるとはいえ、それは許されることではないのかもしれない……」
「おじい様らしくない……弱気ですね?」
まるで自嘲するように口角を上げる祖父に、鷹夜は眉を寄せる。
「弱気なんかじゃない。
召喚術とは、人間には過ぎた力だ。」
「…………」
きっぱりと言いきる祖父に、鷹夜は何も言えなかった。
一切明かりのささない窓が、かたりと音をたてる。
この屋敷にいる召喚獣が、きっと閉めてくれたのだろう―――
「召喚の力は、多大なもの。
その強い力は、我らのコップでは到底収まるものではないんだよ。」
だからこうして寝込んでいるんだ、と祖父は簡単に呟く。
「どういう、ことですか……?」
「人間にとって強い力は、毒にしかならない。
次第に体を蝕み、死にいたらしめる。」
初めて聞いた、華野の黒い部分。
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