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「そんな……」
「事実だ。
現に、わしの命も、もう燃え尽きようとしている。」
驚愕に目を見開く鷹夜に、祖父は淡々と呟く。
まるで人事のように―――
「でも……名前だけとはいえ、今の当主は僕なんですよね?」
ならば、蝕まれるのは自分のはずでは―――
そう思って鷹夜が呟くと、祖父はゆっくりと口角を上げた。
まるで悪戯が成功したかのような、楽しそうな笑みである。
「わしはな、当主になれるような器はない。
だが歴代の当主にはない、特殊な力を持っているんだよ。」
答えになっていない、祖父の言葉。
鷹夜は意味がわからずに首を傾げていると、祖父は青白い顔を綻ばせながら口を開いた。
「わしの力は、相手の力を奪う『吸収』。
この力を使って、お前に降り懸かる呪いを吸収したんだ。」
「なっ……?!」
鷹夜は声を詰まらせながら、自分の胸を押さえる。
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