ショートストーリーⅠ

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では、祖父がこんなふうになっているのは――― 「言っておくが、お前のせいではないぞ? わしが好きこのんでやったまでだからな。」 そう言ってはいるが、信じられわけがない。 本当ならば、ここに横になっているのは自分。 そんな負の力を吸収した、優しい祖父。 そんな祖父にできることは、何一つないのに――― 「―――お前を置いていくのは、確かにつらい。 だが……それ以上に、わしは死んだばぁさんに会いたいんだよ。」 だから、死ぬことは苦ではない。 そう言って、祖父は笑った。 「何年も、あっちで待たせている。 そろそろ、わしがいってやらないとな……」 「ごめん、なさい……」 ただただ、謝ることしかできない。 いかに知らなかったからとはいえ、自分が祖父の命を削っていたのだから――― 「お前が謝ることではない。 むしろ、こちらが謝らなければならないさ。」 .
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