ショートストーリーⅡ

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ちらちらと舞う、白い粉雪。 いつもは青い空も、今日はお休み。 代わりとばかりに、暗い曇天が空を覆っていた。 「見て見て、お父様。 雪が降ってるよ。」 まりえは窓から身を乗り出し、降り注ぐ粉雪を掴もうと手を伸ばす。 しかしいざ掴んだと思っても、直ぐさままりえの手の温もりで水滴と化す。 「なんで……」 「どうした、まりえ。 そんな顔して―――寒いのかい?」 今にも泣き出しそうなまりえに、父は手にしていた新聞を机に置く。 そして自分が使っていた膝かけを持つと、そっとまりえの肩にかけた。 「お父様、雪が……」 「ん、どれどれ……」 ぐずぐずと眉を寄せるまりえの手を、父は後ろから覗き込む。 その小さな手には、同じく小さな水滴がいくつかついていた。 「雪が……消えちゃった。」 そう言って、まりえはさらに悲しそうに瞳を潤ませる。 .
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