199X年 8月10日

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「……想像以上ね。さっきのアンタ同様、警察は何をしてるのかしら」  女の名は、アイリス=イングリッシュ。22才のイギリス人だ。  そばかす付きの小顔と、碧色をしている大きな目。身長は180㎝もあり、スレンダーな体型。ちなみに胸はない。そして、腰まである金色の長髪を携えている。  先月入ったばかりの、CIA捜査官だ。 「おいおい警察はオレ達だろ? だいたい、オレに書類仕事押し付けまくるお前が言うなっての」  その隣でスーツケースを持っている男の名は、フォール=フェルマータ。23才の、同じくイギリス人。  背はアイリスより若干小さいが、細いのに引き締まった身体をしている。癖のある茶髪のボサボサ頭と細い目を携え、いつもどこか余裕そうに笑っていた。  こちらも先月CIAに入ったばかりで、アイリスの相棒を勤めている男だ。 「あらら、聞こえないわ。耳が詰まってるみたいね」 「おお、そいつは大変だ。後で腕の良い耳かき屋を紹介してやろう」  2人は会話をしながらも、暗い路地を進んでいく。  アイリスは時折、道端で倒れている者達に目を向けていた。 「……ごめんなさい」  そう呟いたアイリスの肩が、軽い調子で叩かれる。  彼女が振り向くと、珍しく真面目な顔のフォールがいた。
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