終章

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雷鳴が響く。 暫くしてタワーの下から火星人の悲鳴が上がっているのが聞こえた。 冷たいと思い、ふと上を見上げた。何ヵ月ぶりかの雨だった。 よくみると先程発砲した流れ弾で、屋根に穴があいていた。 見張り、父親。異変に気付いて上まで来た火星人達。皆が雨に当たり、どんどん消えていくのが分かった。 よくみると自分も。 そういやぁ、俺も火星人だったっけなぁ。 棚山は消えていく自分に清々しい心しか残っていないことに気が付いた。 そして、棚山は静かに目を閉じた……………。 朗報がある。死んだと思われていた寄生されていた人々が、火星人が消えた事によって奇跡的に生きていたのだった…………………。 そういえばあの地球開発チームの二人はどうなったのだろう。噂では棚山を探して旅をしているらしいが。 しかし、もう棚山はいない。消えたのだから。 でも死んではいない。棚山は彼のことを知る人々の記憶の中で生き続けているのだから。
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