一章

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地球開発チームのなかに、寄生されていないのは十人中三人。その中に一人の男、棚山浩(たなやまひろし)がいた。残ったの少ねえなぁ。と、火星人の異常増殖を告げるモニターに呟いた。このモニターもハッキングされるのは時間の問題だった。案の定、そう呟いた五分後モニターには何も写らなくなった。 溜め息をつく他なかった。三人がもう諦めかけていたその時、突如モニターに映像が映し出された。画面の中には男が一人。その男は口を開いた。 棚山以外の二人は首を傾げた。火星人語だからだろうか。棚山は、一言へぇーと言った後、その言葉に火星人語で答えはじめた。二人はモニターから流れる言葉に耳を傾けた。 二人は棚山に、何て言ってんだ?と訪ねると、あぁ、後少しで侵略終了だとさ。と伝えて翻訳機のダイヤルを調節した。火星人語が、日本語になった。 モニターの音声はこう告げていた。 「もうすぐ我等の支配が完了する。もうほとんど人類は絶滅だ。」 棚山以外の二人は肩を落とした。 しかし、棚山は笑っていた。 二人は青ざめた。こいつものっとられていたのか、と。しかし、棚山はこちらを向くと、こう言ったのだ。 「あれ、俺の親父だ。」「………はぁっ?」 二人は顔を見合わせた。そんな二人を見て棚山は、こんな話を始めた。 「俺、両親に捨てられた身でね。どうも人型火星人の子供というのは過去にいなかったらしく、厄介払いされたんだ。さっき俺をみた瞬間、親父は少しだけ身を引いた。酷いもんだ。その上もらったのは名前と飢えと寒さだけ。何度も小さいながらに恨んだよ。」 ふうっと息をついて棚山は続けた。 「奴らに復讐しないか?」 突然投げ掛けられた二人は唖然とした。こいつは何を考えているのかと。 でも彼は本気だった。 しかも、自称火星人だ。弱点くらいはしっているだろう。まぁ、裏切られたときはその教えられた弱点をついてしまえばいいわけだ。 了解の合図に二人は頷いた。こうして三人の火星人への復讐が始まった。
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