いきなりの転校

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もう気付いている人もいるかも知れないけれど私には両親がいない。私が中学生の時に亡くなったのだ。 今から三年前。 私もある程度の年だった為、生活に支障はなかった。 しかし問題になったのは会社の方だった。 社長と事務官がいきなりいなくなったのだから無理もないだろう。まとめ役がいなくなり破綻寸前まで追い込まれた。 そこで秘書の中村さんが社長代理を請け負ってくれて、会社をたてなおしてくれたのだ。 今の生活を援助してくれているのも中村さんだ。私の親代わりでもある。 どうして関わりもない西城家が、わざわざこんな有名でもない水無月のために高い入学金や制服まで用意して転校させるのか。 そんなことをして西城が得をするわけがないのに。 そんな疑問も数多くあるけれど、有能で優しい彼女の事だから何か理由があるはず。 何の考えもなしに突っ込むなんてあり得ないから。 「そのうち教えてくれるよね……」 私は明日に不安を感じながら、静かに目を閉じて夢のへとおちていった。 、
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