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*華恋side*
私はおそるおそる顔を上げた。
そこにはやはり見慣れた顔が、しかし優しい笑顔でいた。
「真央……?」
「そっ!私は真央っ!」
真央は無邪気な顔で笑った。
優しい顔の真央を見て私は脱力する。
張り詰めた空気なんか一つもなくて、むしろ明るくて穏やかな空気になっている。
何考えてるんだろう……私は。
佳奈がこんな所に居るはずないのに……。
よく見たら、髪の毛の色だって違う。
「……ごめんなさい。人違いをしていたみたい。あまりにそっくりだったから」
「いいよいいよ。許してあげるっ!」
真央ちゃんは許してくれた。
間違えた事に嫌な感じを抱かなかったらしい。
私は無邪気に笑う真央ちゃんに微笑みながら「ありがとう」と言った。
そう、こんな所に居るはずない。
だって佳奈は……
刑務所にいるんだから。
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