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「……っていうか話し方、表に変えないでくださいよ。なんか怖いんですが」
「随分な言い方だなぁ」
伊吹さんはやれやれと言いながら体勢を崩し、脚を組んだ。
……本当に楽しそうに。
何なんだろう、この人。
さっきからずっと私を見ている。
監視されているようで居心地が悪い。
……顔になんかついているのか?
そう思い、顔を触るとまた伊吹さんに笑われた。
なんか何かしら行動を起こす度に墓穴を掘っている気がするのは私だけでしょうか。
私が不機嫌になって睨むとまた嬉しそうに笑った。
まったく、雰囲気に似合わず可愛く笑う人だ。笑う顔が可愛くてつい見惚れる。
すると伊吹さんは勢いよく立ち上がった。
私は何か言われると思い思わず身構えたが、予想とは反して伊吹さんはリビング端の扉に向かった。
「風呂入ってくる」
「へ?」
予想外の言葉が返ってきたので気の抜けた声が出てしまった。
…………お風呂?
きっと今、凄く間抜けな顔をしているんだろう。伊吹さんが大爆笑してるもん。我慢ならんと言わんばかりに。
……そんなに笑わなくても。
「何?一緒に入りたいの?」
ニヤニヤとそんな事を言われたもんだから顔を真っ赤にしてしまった。
それと同時にムカつきも込み上げてきたので精一杯に大声で
「ありえないッ!!!」
って叫んでやった。
伊吹さんはクスクス笑いながらドアの向こうに消えていった。
本当にムカつく……!
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