いきなりプリンセス

12/16
前へ
/375ページ
次へ
『…………はい』 間が長いよ、舞白。 「もしもし、舞白?」 『……華恋か?』 舞白は一気に声が明るくなった。 本当に単純で可愛い。 声だけで舞白が笑顔になったことが分かり、私は人知れず笑みを溢す。 『大丈夫か?』 「うん、心配ないよ。元気元気!」 『そうか……それならよかった。』 舞白は優しい声になった。 電話でも分かるくらいに。 きっと今、ほっとした優しい顔をしてるんだろう。 舞白の顔を想像し、心に温かいものが溢れてくるのを感じながら私は話を続けた。 「ごめんね、いきなり転校して……。驚いたでしょ」 『あぁ。今日一日授業が手につかなかった』 「どうだった?学校」 『最初は皆、驚いていたよ。でも最初だけだ。しばらくしたら皆普通に戻っていた。 さして変わりは無い。ごく普通だった。 ただ……』 舞白が言葉をきってしまった。 中途半端な終わり方から話そうとしないので私はせかすように聞き返す。 「ただ?」 舞白は電話ごしで息をはいた。 『華恋がいなかったからつまらなかった』 ……………………。 「か……かっかかかかかか……」 『……?かばっかりで不気味だぞ。どうした?』 可愛いッッ!!! なんだコイツ、なんだコイツッ! 可愛いにも程ってもんが! 可愛い……可愛いわ……。 あぁ、今すぐ飛んでいって抱き締めてやりたい。 『華恋?』 「あっごめん、なんでもないの……」 なんでもなくはないけど。 現在進行形で出血寸前だけども! 『?ならいいんだが……』 舞白はキョトンとした声でそう言った。 、
/375ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17633人が本棚に入れています
本棚に追加