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「そうね。言っとくけど私が後ろよ」
「わかったって」
俺は自転車に鍵を差し込むと理彩の隣に寄せた。
無言で理彩は後ろの荷台に座り俺の制服をぎゅっと握る。
「じゃ、行くぞ」
ふわふわした白い雲が浮かぶ青い空の下で俺はペダルを踏んで車輪を回転させた。
これなら全然間に合う。
風を切って後ろに理彩を乗せた自転車は俺の力を受けて学校に向かっていく。
その間、後ろに乗る彼女がぴったりとくっついていたのが原因で自転車が揺れる度に背中に柔らかい感触を感じたのは内緒。
無事学校には着いた。
むしろ少し早い。
自転車の指定の場所に置くと俺と理彩は校舎に向けて歩いた。
「きつかったけど間に合って良かったな……」
「あなたのせいなんだから当然でしょ」
多少荒れた息でそう言った俺にぴしっと理彩はそう言った後、
「それと……何か変な感じしなかった……?」
もじもじしながら理彩は聞いてくる。
言い方が抽象的過ぎて分からない。
「柔らかいっていうか……その……背中に……当たったっていうか……」
あっ……柔らかい感触の事か……。
「まぁ……あったな」
「バカ!!」
真っ赤になって理彩は怒ったようにそっぽを向いた。
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