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「怒んなって……」
俺のせいではなく不可抗力だよな……?
俺は笑って大人っぽい容姿と裏腹に子供のようにぷんぷん怒る理彩の肩にポンと手を置いた。
「ゆ、許してあげるから忘れなさい!!」
真っ赤な顔のまま理彩は言う。
忘れようとしてもあの独特の感触を忘れられないのだが……
まぁ忘れると言っておくか。
「わかったわかった。頑張って忘れる」
「頑張らなくても忘れるのよ!」
じろっと睨んだ後は機嫌を直したようで次第に普段の彼女へと戻っていく。
いつもの調子で俺達はドアをスライドさせ二回目となる教室へと足を踏み入れた。
自己紹介でクラスメイトの顔ぶれとどんな奴かは少しは把握したし、昨日ほど教室に入った時の緊張感はない。
「おーっす!」
すっかり元気になった政史が挨拶を向けてきた。
「もう元気になったのか?」
あの腹痛はもう直ったようだ。
本当に痛そうだったからもう一日位は休むと思っていたので意外だな。
「いや……実は腹は痛くなかったんだ」
政史は真実を告げて笑う。
馬鹿な、あれが演技だったのか……。
だとしたら演劇部にでも入るべきではないだろうか。
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