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「サボったって事?」
静かに非難の眼差しを理彩は政史へと向けた。
「まあ結果的にそうなったなぁ」
「全く……仕方ないわね」
やれやれといった様子で彼女は大人しく引き下がる。
「おはよ。皆~」
話の区切りを見極めたかの如く幸那が登校して来た。
翼の席は空席。
いきなり休みなのか?
しかし考えても理由が分かるわけでもなく、仕方のない事なので翼がいない理由について考える事をすぐにやめた。
そして暇をもて余しガラス一枚隔てた外の景色を見上げてみる。
多種多様な形状の雲が動く。
雲が動くだけ時間が進んでるんだなと漠然と柄にも無い事を思う。
教師が話す声が耳にぼんやりと入ってくる中で今まで俺は何してたんだろうとか、今のままでいていいのかとか様々な普段は頭には生まれない考えが浮かんでは消える事を繰り返す。
そんな事も考えたって仕方がない。
俺は素直すぎる青空から逃げるようにカーテンを音を立てて閉めた。
「またぼーっとしてたけど、どうかしたの英君?」
教師の話が終わった事にも気付かない程にぼけっとしていたらしい。
「いや別に大した事じゃないよ」
聞いてきた幸那に対して笑って誤魔化す。
自分について考えてたなんて言ったら笑われるだろ?
それに実際、大した話じゃない。
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