第1話

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「ん…………」 目覚まし時計が鳴る前に起きられた今日。 朝の眠りを邪魔する耳障りな音が鳴る十五分前という半端な時間に起きたので二度寝はできない。 仕方なくベッドからもぞもぞと這い出し足で立ち上がると窓を開けて顔を出す。 春の朝は少しすっとした風を送ってくる。 俺=中崎英一は今日から高校一年生だ。 つまり待ち受けるのは入学式。 しかし正直関心があるような無いような。 つまりそこまで深い関心はないって事。 俺は人と付き合うのがそこまで得意ではない。 そんな俺をクールだなんて言う奴も時々いるがそんな大層な物じゃない。 気が弱い訳でもない。 社交的でない訳でもない。 単に得意ではないだけだ。 だから中途半端な奴。 これが俺の自分に対する評価。 大きく外の空気を吸い込み肺に収めると窓を勢いよく閉める。 せっかく早く起きたのにいつもと変わらない時間。 俺は部屋を出て階段を降りていく。 この家に居るのは俺1人。 親父と母さんは仕事で外国。 外国語なんて英語ですらもさっぱりだったし、なんだかんだ言っても今住んでる所が好きだから離れたくなかった。 高校1年生になりたてだった頃だったし生活位は一人で出来た。 でも何かあったら近所の人がなんとかしてくれるみたいだ。 迷惑かけるのは嫌だから何も頼まないようにしているが。 自分で作ったトーストと目玉焼きにかぶり付きあっという間に朝食終わり。 皿を洗って片付ける。 そして近くのハンガーにかけてある制服に着替えた時、我が家のチャイムが鳴り響いた。
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