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ちらりと注がれる視線の中、俺と理彩は指定された席についたのだが――――
「なんであんたが隣にいるのよ……?」
「知るか………」
見事に隣の席になってしまった。
しかし正直、新しい環境で戸惑う事も無くなるだろうし助かったなと思う。
「よろしくな」
「今さらそんな事言わなくてもいいわよ。小さい頃からの付き合いじゃない」
理彩は俺から目を反らす。
小学生から一段と大人になる時期である中学生位からそう。
理彩は俺が真っ直ぐに感情を言葉にすると、照れたり無愛想になったりする模様。
それが彼女の不器用さが感じられる時だ。
「そうだな。一年間よろしくな」
「だから言わなくてもいいわよ」
理彩は眉を寄せた。
「ははは。悪い悪い」
謝る事ではないけれど習慣みたいなもので頭の後ろを掻きながら笑う俺。
「ねえ。ちょっといい?」
―――と不意に後ろの席から声をかけられる。
「え……あぁ……いいけど……」
不意の声に驚きながらも返事をする。
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