十二月24日曇り

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慧は投げた缶を拾い上げた。 変な格好をした少女は何故かニコニコしていた。 「何笑ってんだよ?」 慧は少女を一睨みした。 「さっきは助けてくれてありがとうございます」 少女は笑顔で慧にお礼を言ってきた。 「何言ってんだよ。 オレは目の前でアンタ等がうるさかったからああしただけなんだよ。 勘違いしないでくれよ」 慧はタバコを地面に落とし、火を足で踏み消した。 「アッ、ポイ捨てはいけませんよ」 少女は慧の行動を注意した。 「分かってるよ」 慧は羽織っているコートのポケットから携帯用灰皿を出し、吸い殻を拾い上げ入れた。 「てか、アンタ何だよその格好、変だぞ」 慧は少女の服装に対する感想を率直に述べた。 「そうなんですか?」 少女は意外と言う表情をしていた。 「この服は私が入院してた時に病院内を歩くのに使ってたんですが」
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