芸能界入り

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――私が芸能界に入ったのは、小学1年生のときだった。 「ねぇえ、お宅の柚稀ちゃんスゴく可愛いじゃない? それでさ、今日新聞に 《全国芸能界オーディション》 っていうのが載っていたのよ。 応募してみない?」 ありがちなお節介おばさん(君子キミコ)が柚稀の母 水瀬美栄子(ミナセ ミエコ)に新聞片手に語りかけてきた。 「え~、でも親バカって思われたらいやですしぃ。」 美栄子は左手を頬に当てて微笑んだ。 「あら、そんなのいいのよ~。あんなに可愛けりゃ親バカにもなるわよ。」 君子は手首を使い右手を上下させた。 「そうかしら、じゃあ応募してみますね!」 「うふ、じゃあこれ。」 君子は新聞紙についていた応募用紙を美栄子に渡した。 「ありがとうございます♪でわまた。」 美栄子は軽く会釈をして家に入っていった。
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