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満面の笑顔で納得した振りをし、お母さんを安心させる。
心労が掛からない程度にしたくもない悪戯も始め、お父さんの事を全然気にしていないような素振りもした。
あの時は残されたお母さんを守る事しか考えていなかったんだ。
中学一年生の春休み。
『この日』から私の頭の中は蜘蛛の巣のように複雑になる。
いつものように三軒隣のおじいちゃんの家に遊びに行くと、突然、普段は無口なおじいちゃんがお母さんの話をしてきた。
「ミキが連れてくる男は、みんな現実を見ないで夢を追いかけるダメ男ばかりだった。」
思わず目を見開き鳥肌が立つくらい凄まじいショックを受けた。
……本当はお父さんが出て行った時にもしかするとなんて考えたけど……でも実際身内の口から聞くと脳みそを揺らされたような衝撃が来る。
実の母がダメ男好き……
私は首を横に強く振り、頭の中を整理する。
昔のお母さんがどんな恋をしていようとも関係無い。お母さんは私の大好きなお母さんだ。
……だけど続きは気になる。
私は更におじいちゃんの話に耳を傾けた。
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